嚥下食にはどんな種類があるのか、何を基準に選択すればよいのか
お久しぶりです。
かなーり久しぶりの更新になりました。汗
ちゃんと生きています!
インスタグラムで質問・相談募集したところ、嚥下食の作り方や選択する上での注意点を知りたいという声を何件かいただいたのでまとめてみることにしました。
今更ですがインスタグラムはじめました!
認知症や嚥下障害の方の介助方法やポイントを投稿しています。
コメントいただけると飛び上がるほどうれしくなりモチベーションになるのでガシガシお願いします^^笑
普段僕たちが何気なく行っている飲み込み。
この飲み込みの機能(嚥下機能)は加齢とともに少しずつ低下していきます。
脳梗塞や脳出血の後遺症で急激に飲み込みの力が弱くなる方もいます。
兆候としては以下のようなものがあります。
「最近以前よりムセが増えてきたなー」
「何度飲込んでも口の中に残るなー」
「のどに食物が残っていてゴロゴロするなー」
...etc
飲み込みになんら問題がない方であれば普通食でよいのですが、上記のような症状がみられる方は、誤嚥リスクが高く、安全に食事を続けるためにはその人に適した食事形態の選択が必要になります。
食事形態には様々なものがあります。
ミキサー食、刻み食、ソフト食...etc
それぞれどう選択したらよいのか?、作り方は?、注意点は?、うちの祖母の場合は?、などといった声の参考になるようにまとめていきたいと思います。
≪目次≫
嚥下食の種類
まず嚥下食の種類、段階について紹介します。
(※画像はインスタグラムの投稿から引用)
誤嚥しやすいものから順に、
普通食
⇓
軟菜食
⇓
一口大食
⇓
粗刻み食
⇓
刻み食
⇓
ソフト食
⇓
ミキサー食(ムース食)
⇓
ゼリー食
と段階的に分けられます。
普段僕たちが何気なく食べていて、飲み込み易くするための加工をしていない状態が普通食。これが一番誤嚥リスクが高く、ゼリーのようにひと塊でつるっとしたものが最も誤嚥リスクが低く安全な食事形態になります。
※この分類は職種や施設によって呼び方が異なる場合があります。
粗刻み食がない施設もあれば、ミキサー食やゼリー食をまとめてソフト食と呼ぶ方もいます。
ここではそれぞれ特徴が異なり、実際に作る上で分かりやすい分類でまとめています。
各嚥下食の特徴
それぞれの食形態の特徴です。
1.普通食
普通食は健康な人が毎日食べているような、食べやすいように加工していない普通の食事です。
食べやすいように刻んだり、ミキサーにかける等のなんの加工もしていないので、一番食感や素材の味を楽しむことができます。
2.軟菜食
軟菜とは普通食とほとんど見た目は変わりないのですが、繊維が多く噛みづらいものや固すぎるものを省き、食べやすいように柔らかく煮たりして柔らかさを調整した食事です。
3.一口大食
一口大とは読んでそのまま一口で食べれる大きさにカットした食事です。
4.粗刻み食
粗刻み食とは噛みやすいように細かく刻んで食べやすくした食事です。
5.刻み食
刻み食とは粗刻み食をさらに細かく刻んで食べやすくした食事です。
6.ソフト食
ソフト食とは見た目は限りなく普通食に近いのですが、かなり柔らかく舌で押しつぶせるよう加工してある食事です。
「見た目に美味しい食事」にこだわった食事形態です。
一度ペースト状にした食事をゲル化剤と呼ばれる特殊な改良剤を用いて固め直し、もとの食材、献立に近い状態に形作ったものです。
7.ミキサー食(ムース食)
ミキサー食(ムース食)とは食品を全てミキサーにかけ、コーンポタージュのようにドロドロの液状に加工した食事です。噛む必要がないので食べやすいですが、それが何なのか献立を判断することは難しく、見た目にはあまり楽しめない食事です。
8.ゼリー食
食事をゼリー状に加工した食事です。
口の中でバラバラになりづらく、ツルっとのどを通過するので最も飲み込み易い食事形態になります。
それぞれの選択基準
各食形態にはそれぞれ特徴があり、食べる人の嚥下機能(飲み込みの機能)に応じて選択をしていく必要があります。
以下に食事形態の選択する基準をフローチャートでまとめてみました。
今回の記事で一番伝えたいのはここです!!
このフローチャートさえ覚えてくだされば、あとは読み飛ばしていただいても構いません!笑
基本的に食事形態の選択は、舌や唇の動きといった口腔内の機能や咀しゃく機能で判断します(のどの状態の考慮も必要ですがここでは割愛します)。
先ほどのフローチャートをもとに、食形態を選択する際の例をいくつか挙げます。
(例1)噛む力が落ちているけどある程度形があるものを食べれる
まずは軟菜を選択。
軟菜でも上手く一口サイズに噛み切れない場合や認知症などでガツガツと食べてしまい窒息リスクがある時は一口大へと食事形態を落とす。
(例2)固形物の咀しゃくは難しい
まずは粗刻み食を選択。
粗刻み食でも上手く咀しゃくができない、口の中に残る場合には刻み食へと落とす。
刻み食も難しければソフト食→ミキサー食→ゼリー食と段階的に落としていき、最も安全な食事形態を選択する。
(例3)口腔内の麻痺、筋力低下の影響で一切舌を動かせず、咀しゃくもできない
形が少しでも残っていると危険なのでミキサー食を選択。
ミキサー食でも口の中に残る場合にはゼリー食を選択します。
※この段階まで嚥下機能が落ちている方は口の中に食物を入れてものどへ送り込むことができない場合が多いので、リクライニング車椅子やベッド上で姿勢を少し倒す等の環境調整も必要です(重力でのどへ流し込むイメージ:過去にインスタグラムで投稿した「食事で一番ムセにくい姿勢」参照)。
食事形態を変更する際の判断基準は以下4つです。
≪食事形態の判断基準≫
①口の中に残らないか
②のどにゴロゴロと残らないか
③ムセはないか
④呼吸が浅くなったり早くなっていないか
実際に食べてみて、この4つを全てクリアできる食事形態がその方に最も適した食事形態になります。
以上が嚥下食の形態の種類とその選択方法です。
それぞれの食形態の作り方、注意点については別記事でまとめていきたいと思います。
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